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コミュニティが集まる土地ってなんだろう

~コミュニティリーダーズサミットin高知~

· 活動報告,地方創生,

人生初の、高知県上陸

2018年5月18日から20日まで、徳島・高知に行ってきました。

目的は高知県で開催された「コミュニティリーダーズサミットin高知(CLS高知)」への参加です。

この会は、高知県出身で、コミュニティマーケティングのプロであり、パラレルキャリアの大先輩であり、独立の際にアドバイスも頂いた小島英揮さんが県庁とともに仕掛けたイベントです。

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小島さんは、元AWS。まだAWSが「本屋のサーバー?」と言われていたところから、AWSのユーザーをコミュニティ化(JAWS-UG)することで、ユーザー拡大に尽力した立役者。その実績を活かし、AWS卒業後もコミュニティマーケティングの専門家として活躍されている。

たまたま私が高知県に行ったことがなかったということもあり、また、自分自身でも八子クラウドの幹事グループや第八開運丸CSAのコミュニティマネージャーをしているという関係で、旅行と学びと半々という思いで参加してきました。

このブログは私のビジネス用ブログですので、旅行記的なものは個人ブログ「道はローマまでつづいている」に譲って、コミュニティマーケティングに絞って、思ったことを記します。

コミュニティを呼べる地域とは?

いきなり本題です。

今回「コミュニティリーダーズサミット」を高知で開催したのは、ざっくりいうと地域活性が目的です。

なぜ高知で開催?

東京と一部都市を除き、ほとんどの自治体が人口減少(というより急減)に伴う、地場経済圏の縮小に直面しています。人口減少自体はもはやなかなか流れが変えられないとことろまで来ているわけで、これを認めたうえでどう生き残りを図るか、の戦略を考える必要があります。よくある産業振興策では、補助金による企業誘致等を行うわけですが、はっきり言って誰もが(どの自治体も)取り得る施策で、高知県が上位のポジションを取るのは、経済的にも、そして地理的にも(LCCさえ飛んでいない)かなり無理スジだと言わざるを得ません。

では、何を軸にこれからの生き残り、そして成長戦略を考えるか? それには尾崎知事が就任当初から言っている地産外商」の徹底、で、それを実践するには「外のモノサシ」を知る人材が必要なわけです。地産外商はもともとは一次産業を強く意識したものだと思いますが、ここではITやコンテンツ系でのビジネスも含めています。クラウド時代、理屈的にはどこで起業しても、どこで働いても、日本中、いや世界中を相手に仕事ができるはずですが、現実問題としてはそうなっていません。相変わらず多くの起業が東京中心に行われるのは、そこに経済や技術のトレンド、世界のマーケットを知る人材とネットワークが(結果的に経済も)集積しているから、です。

 

コミュニティを通して「外のモノサシ」を知り、行動変容を促す

では、その集積した人材やネットワークを、どう高知の既存産業やIT産業に実装していくか? それには「コミュニティ」の力無くしてはできないと考えます。コミュニティを通じて、様々な「外のモノサシ」促成栽培的に知ることができますし、単に知るだけでなく、実践している人と一緒に話したり考えたりすることで行動変容も起こしやすいはずです。

 

以上、小島さんのブログより引用

要するに、高知県外からも人が集まるようなコミュニティを作って、イベントなどを定期的にやれれば、地域に関係人口が増える。結果、都市と地方の知識や技術が混ざり合い、地域でイノベーションを起こすきっかけになる。

更にいうと、その都度お金も落ちます。そして、移住まで行かなくても定期的に高知に通う人が増えるし、その人達が高知のいいところを全国に広めてくれれば、もっと多くの人が高知に集まる。

じゃあ、そうやったら県外からも人が集まるコミュニティが作れるか(または外部から呼べるか)、というのが今回のお題でした。

当日はLTまで入れると10名以上の方たちがそれぞれの取り組みを語ってくれましたが、会場から出た意見と私の印象を下記にまとめます。

◎地域というより、熱量のある中心人物がいるかが超重要。

ディスカッションの中でも出ていましたが、ここが一番のポイントでしょう。

私も今回、小島さんの誘いだったから行ったわけです。その他の地域も、元気なところには必ずキーマンがいます。

◎県外から人を惹きつける食の魅力と場がある。

ディスカッション中、「地域にイチ押しの食材や酒があることが重要」という声を多数聞きました。高知でいえば「カツオ」ですね。確かに驚くほど美味しかったです。でも、私の考えはちょっと違います。

「地元の食材や酒」って必ず何処にでもあるわけです。でも、埋もれているケースが多い。

大切なのは、「地元の食材や酒」を「食べないと人生損する」ってくらい魅力的に見せる演出と、その「イチオシの食材や酒」を楽しむ場があるかじゃないかと思う。

高知は中心部に「ひろめ市場」という地場の魚を堪能できる屋台式の広い市場があります。あそこにいけば、地元で何が美味いかがわかるし、地元の人と交流できる。大きなハコなので、イベント開催後に懇親会も出来る。

例えば同じように魚が集まっていても、築地じゃ出来ないんです。築地市場にはああいったハコがない。普通のお寿司屋さんならもちろんありますが、それだったら地域に来た意味がない。

臨場感を持って食を体験できるハコがなければ、ただ「打ち上げを居酒屋チェーンでやりました。で、この地域のうまいもんってなんだっけ?」とか、「打ち上げとは別に個人的に名物を食べに来ました、地元の人とでなく、1人で。」となってしまう。これでは、せっかく地域に人が来ても継続した交流人口にはなりにくいのではないかと思いました。

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ただし、上記のふたつって、やろうと思っても必ず出来るものではないのです。

熱量のある人がいない地域もあるし、熱のある人が忙しくなったり、他のことに興味を持って稼働できなくなった瞬間に覚める地域や組織をゴマンと見てきました。

また、食問題、ハコ問題も、どの地域も解決できるわけではない。どう頑張っても、食で勝負できない地域もある。

で、私が考えた「地域がコミュニティを呼ぶために必要なこと」は、下記になります。私は県外の人間ですので、県外の人間が高知でイベントを開催する決め手、という観点で考えています。

魅力はそこそこでも個性はそこそこでもいいから、
何が何でも地元のネットワーク

すっごく事務的な話です。

イベントを開催するときの一番のネックって、なんだと思いますか。私は地元の集客だと思っています。実際に八子クラウドを地方開催するときに、私たちが最も頭を悩ませるのはここです。東京から既存のネットワークを連れて行くことは出来ますが、地元の集客だけはどうしても地元に頼らないといけない。だから「地元に熱量のある人がいないといけない」という話になる。人が集められないからです。

でも、例えばです。仮に高知県だとしましょう。しかも、小島さん不在の高知県だとしましょう(もちろん、ハブになっている方はたくさんいるでしょうが、あえてわかりやすく)。そしてカツオも黒潮が何処か行ってしまったとしましょう(実際そうなっては困りますが)。

私が幹事グループに所属している「八子クラウド」の地方開催の会場を探しているとします。

で、もし「ぜひ高知市でやってください。実はわたしたちは、ITに関心がある人達のネットワークをリストしています。開催してくれるなら、このリストにある●名に告知できますよ」と言われたら、きっとこの地域を選びます。

もちろん、中心となって地元を事務的に仕切ってくれる人は必要ですが、リストがあるという時点で、その中心人物の熱量の加減にかかわらず、一定の集客は見込めると期待できる。

「ITのイベントなら●●名に告知できます」

「食のイベントなら●●名にメルマガ流せます」

「デザインのイベントなら●●名のネットワークがあります」

これだけで、外部のコミュニティがイベント開催先を探す上でかなり強いインパクトになると思いました。

もちろんそれに付随して、「県外参加者向けにホテル紹介します」「地元のものをみんなで食べられるこんな会場があります」と、ここまで来たら完璧だと思います。そしたら、物理的距離って、実はそんなに変わらないんじゃないかな、と思います。当日、東京からのアクセスが高知は非常に悪い、という話が出ました。そりゃあ東京開催と高知開催とではハードルが全く違いますが、ネットワークが整っているのなら、少なくとも高知が四国の中でアクセスしにくい場所であろうと、高知開催にすると思いました。

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高知と言えば、坂本龍馬ですよね。私も最終日に桂浜までバイクで行ってきました。海の青と空の青、それと松の緑が、本当に美しい場所でした。坂本龍馬といえば、薩摩と長州を繋いだ立役者です。そんな感じで、「高知はイベント開催者と地元住人をつなぐ仕組みが出来ていて、コミュニティイベントがやりやすい場所だ」という認知が広まったら、高知は一大コミュニティ市場になるでしょう。そして、外部の人間と内部の人間が混じり合ってスパークする。

じゃあ、そのネットワークはどう作るんだ、というと、それが地元による地元向けのコミュニティイベントなのだと思います。ITでも食でも何でも、地元にコミュニティが育っていれば、それがそのままリストになる。

もちろん、地元にコミュニティを育てることも、それをコンスタントに運営していくのも大変です。事実は私がいうほど楽ではないのはコミュニティ主催者としてよくわかっていますが、今回のイベントを通して思ったことは、ネットワークリストの重要性だったので、ここにまとめました。

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実はこれ、私のようなPRコンサルタントも一緒ですね。

私たちは完全に属人的なビジネスです。それは、そのコンサルタントがどんな記者のネットワークを持っているか、どれだけ記者や編集者と心を添わせて仲良くなれるかにかかっている。そういうコンサルタントには自然と仕事が来る。なぜか。その人がハブになって、メディアに情報が流れれば、掲載確率が上がるからです。「リスト」って言うとちょっとドライな響きですが、あえてドライに言います。リストって大事なんです。しかもちゃんと手入れされた、愛のある、生きたリストです。お金で買った名簿とは違います。

どうやら八子クラウドを高知で開催することになりそうです。もちろんそのときは、日本にいれば、私も行きます。

高知の皆さま、そのときはぜひITやクラウドに関心がある方、関心はなくても新しい知識や人に触れたいと思っている方たちにお声掛けいただけると幸いです。私は出会いたい! まだ見ぬ、ワクワクする、素敵な人たちに!

それでは高知のみなさま、また会えることを楽しみにしています!